好酸球性副鼻腔炎は、副鼻腔炎の中でも治りにくい代表的な病気で、2002年に提唱された比較的新しい病気の概念です。
典型的には成人に発生し、気管支喘息と以前診断されたことがある人が多いです。
また、両側の篩骨洞と言って目と目の間の空洞に炎症が強く、鼻のポリープが充満しています。
鼻が詰まっているため、嗅覚障害がある事も多いです。
この鼻ポリープや鼻の粘膜を調べると好酸球という細胞が多く見られるため好酸球性副鼻腔炎と名前がついています。
この病気は気管支で起こる気管支喘息で起こるような炎症が鼻の部分で起こっているものと考えられています。
これまでこの病気を治す確実な治療法はなく、症状に応じた治療が中心でした。
症状が悪化しているときの治療としては①ステロイド薬の内服、②抗生物質の内服、③手術があります。
鼻にポリープが充満して症状が強い場合では、内視鏡下の鼻副鼻腔手術が推奨されます。
症状が安定しているときには、①鼻処置、②鼻洗浄、③内服(抗アレルギー薬、マクロライド少量投与療法)、④点鼻薬(ステロイド点鼻)などがあります。
これらを組み合わせて治療します。
しかし、上記の治療を行っても一部の患者さんではなかなか良くならずに再発を繰り返すことがあり、我々耳鼻咽喉科医も治療に非常に苦労していました。
そんな中、2018年にサノフィ株式会社からデュピクセント(デュピルマブ)という薬が発売されました。
これは好酸球性副鼻腔炎やアトピー性皮膚炎、気管支喘息などのうち、既存の治療ではコントロールが難しい患者さんに対して効果が認められた薬です。
薬は高価なため一定の基準を満たした重症な方だけが使えるようになっています。
これまで薬でのコントロールが難しい方でもこの治療で病状が非常によくなる方が出てきました。
ただ、現状では治療をやめるとまた悪化するのでずっと継続しなければいけません。
それでもステロイド薬と比較しこちらの薬の方が副作用の可能性が少ないため良い薬だと考えます。
治りにくい副鼻腔炎の方は一度主治医と相談してみてください。
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