急に耳が聞こえにくくなった。どうしたらいい?

耳の病気
まず耳鼻咽喉科を受診して耳の中をみてもらい、聴力検査で実際に聴力低下があるかみてもらいましょう。診断が遅れると治る可能性が低くなる病気もあるので、なるべく早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。

 

 

急に耳が聞こえなくなるような病気はいくつかあります。

 

まず耳かきなどでいじっている時に急に聞こえなくなるような場合に最も多いのが、耳垢栓塞です。

つまり、耳垢が耳に詰まって耳栓をしたような状態になる事です。

 

この場合耳鼻咽喉科を受診すれば一発で診断できますし、耳垢をとる処置をすればすぐに症状は改善します。

 

次に耳かきでいじっていて子供などがぶつかり、鼓膜を破ってしまって聞こえが悪くなる、外傷性鼓膜穿孔という病気もあります。

こちらは鼓膜に小さな穴が空いただけであれば数日で閉じることもありますが、穴が大きい場合閉じずに穿孔が残ったり、ひどい場合は耳小骨と言って音を伝える骨が外れてしまったりしている場合があります。

この場合は時期をみて改善なければ手術が必要になります。

 

このように耳かきなどはしていないのにもかかわらず急に聞こえが悪くなるような代表的な病気に突発性難聴があります。

芸能人の方でもこの病気を患っていることを公表されている方が多数いらっしゃいます。

 

突発性難聴は原因不明ですが、内耳の血流の障害やウイルスによる炎症などが原因と考えられています。

文字通り突発的に聴力低下が起きますので、聴力検査をすると一側あるいはまれに両側の聴力が著しく低下した結果が出ます。

 

この病気の大事な点はできるだけ早く治療を行う必要があるということです。

治療が遅れれば遅れるだけ治る可能性が低くなるといわれています。

 

治療は発症後1週間以内、遅くても2週間以内から開始することが望ましく、それ以降になると治る可能性はかなり低くなります。

このようなお話をすると夜間に救急外来を受診される方がいらっしゃいますが、夜間の救急外来では聴力検査など専門的な検査はできないため、翌日の日勤帯に耳鼻咽喉科外来を受診されることをお勧めします。

 

治療はステロイドという強力な治療薬が必要となりますが、聴力低下の程度により、飲み薬にするか点滴加療にするか相談します。

重度の聴力低下があれば入院の上で治療を行うことが多いです。

ステロイドに加え、血管拡張薬や代謝改善薬なども使用されます。

 

また、早期であれば高気圧酸素療法なども施設によっては併用します。

聴力低下が持続しますと生活の質が落ちてしまうので、なるべく早めに治療を開始ししっかり治すことに専念することが大事と考えます。

ストレスなどの関連も考えられるのでゆっくり安静にすることも大事なことです。

 

その他の病気としては聞こえの神経に腫瘍ができる聴神経腫瘍というものも鑑別しないといけませんので、CTやMRIなどの画像検査が必要です。

聴神経腫瘍であれば治療は腫瘍に対する治療となり、治療法が異なってきます。

また、低音部の聴力が中等度低下している場合は、低音障害型感音難聴と言ってストレスが原因で起こる病気もあります。

 

また、めまいが伴うようであれば、メニエール病の可能性もあります。

この場合も低音部の聴力が低下することが多いです。

 

こちらもストレスの除去が大事なことと、程度によっては突発性難聴と同じような内服加療を行うこともあります。

 

小児で起こる場合、ムンプス難聴と言って、おたふく風邪のウイルスにより起こる難聴もあります。

この場合、聴力改善は非常に難しいです。

 

また機能性難聴と言って本人は難聴を訴えますが、検査所見などが一定せず、詳しい検査をすると聞こえには問題が無い病気もあります。

これは、本人は嘘をついているわけではなく、心因的なストレスが原因で実際聞こえないと思い込む病気のため、耳自体には異常がないことを本人、ご両親に説明し、家族関係や学校など環境への対策をとる必要があります。

 

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