我々のところで頭頸部といいますと、腫瘍つまりできものに関するものをほぼ指します。首から上の腫瘍、癌などになります。脳や目、歯はそれぞれの専門がありますので、それ以外になります。
頭頸部の病気には、まず咽頭にできる腫瘍、癌があります。
咽頭とは口や鼻の奥の部分ですが、咽頭は細かく3つの領域に分けられまして、鼻の後ろの部分が上咽頭、口の後ろの部分が中咽頭、その下の部分が下咽頭になります。
上咽頭癌は鼻づまりや耳詰まりの様な症状を訴え、30歳や40歳代に比較的多い疾患です。
EBウイルスというウイルスが原因ともいわれています。抗癌剤や放射線が比較的良く効く病気です。
中咽頭癌は坂本龍一さんが公表していましたが、喉の違和感や痛みなどでみつかる病気です。
以前はお酒、タバコが原因と考えられていましたが、最近では乳頭腫ウイルスが原因で起こるものも多いということが分かってきています。
乳頭腫ウイルスで起こる癌は比較的抗癌剤や放射線が聞きやすいとされています。
下咽頭癌は喉の違和感、食事の引っかかり、声がれ、喉の痛みなどで見つかる病気です。
時々頸(くび)のリンパ節の腫れから見つかることもあります。
基本的にお酒やタバコが原因です。
小さいときは抗癌剤や放射線で治る場合もありますが、だいたいはひどくなってから見つかることが多いので、手術が必要になることが多いです。
口の中の腫瘍である舌癌、こちらは堀ちえみさんが公表して話題になりましたが、こちらも耳鼻咽喉科の領域の病気です。
舌の痛み、違和感などが症状です。
こちらも手術での切除がメインになります。
他の腫瘍としてはつばを作る部分である唾液腺の腫瘍があります。
唾液腺には耳の下にある、おたふくの時にはれる、耳下腺とその下の方にある顎下線が大きなものとしてあります。
唾液腺腫瘍には良性が多いですが、悪性のものもあり注意が必要です。
基本的には手術が勧められますが、顔の神経が中を通っているため手術により顔面神経麻痺が起こるリスクもあります。
また、頸の腫瘍としては頸の前に蝶ネクタイの様にある器官である甲状腺の腫瘍もあります。
こちらも良性のものから癌までありますが、癌もそれほど悪性が高くないものから非常に悪性の高いものまであり、外科的な治療が中心です。
声を出す声帯を含む喉頭という部分(のど仏のあたり)にも腫瘍はできて、良性のものでは乳頭腫という良性にもかかわらず再発を繰り返し現在完全に治す方法がない厄介な病気があります。
こちらは大きくなったら外科的に取り除く必要があり、ほっておくと窒息するリスクがあります。
また、喉頭にできる癌としては喉頭癌があります。
こちらはほとんどタバコが原因と考えられています。
初期であれば放射線や抗癌剤、部分的な切除で直すことができますが、進行すると声帯を全てとってしまわなければなりません。
歌手のつんくさんが有名ですが、声帯をとってしまうと普通の声がだせなくなり、人工喉頭といった器械を使うかあるいは食道発声といった食道をつかって声を出す訓練が必要になります。
ですから声がかれたなどの症状があれば早めに耳鼻咽喉科を受診して癌を見つけることがとても大事になります。
稀ですが、耳や鼻にも癌はできます。中耳炎や副鼻腔炎と思っていたら癌であったと言うこともありますので注意は必要です。
以上頭頸部の病気について説明しました。
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