耳鳴りは外部からの音と関係なく、音として自覚する異常な聴覚現象です。
蝉の鳴く声のような耳鳴りが多く、非常に不快感を伴います。
耳鳴りの原因は色々ありますが、最も多いのは感音難聴を起こす耳の病気に伴うものです。
感音難聴とは耳の奥にある内耳から脳中枢に至る聴覚の神経系が障害されて起こる難聴ですが、発症から時間がたち難聴が固定したり、徐々に進行したりする場合、その障害を回復させる有効な治療法はありません。
色々治療を行っても効果無く、耳鳴りが慢性化してしまうことが多いです。
このような耳鳴りは完全に治そうとするのではなく、耳鳴りで起こる生活の障害や苦痛を軽減させることが現状での耳鳴りの治療の大きな目的となります。
普段冷蔵庫の音は全く気になりませんよね。
ところが一旦冷蔵庫の音がすると思ったら意識に上がってきます。
このように意識からなるべく無くすことが大事です。
患者さんの中には昼間は仕事に集中していて全く気にならないが、夜寝る前に静かになるととても気になるという方がいらっしゃいます。
眠る前の静かなときにうるさいようであれば、音楽を流すなどして耳鳴りを相対的に小さくします。
補聴器の適応があるような方では、補聴器をする事で耳鳴りが小さくなることもあります。
何か重篤な病気が隠れているのではと心配される方では、CTやMRI検査などで聞こえの神経の腫瘍などがないことを確認し安心していただきます。
ストレスや不眠などはかえって耳鳴りを増強します。
不安が強ければ安定剤、不眠が強ければ眠剤を処方することもあります。
そのような症状はないけれども内服を希望されるような方では、ニコチン酸アミドパパペリン塩酸塩(商品名:ストミンA)やビタミンB12(商品名:メチコバール)といったものを処方しますが、効果には個人差があります。
耳鳴りに対する苦痛が強い場合には、さらにカウンセリングなどの心理療法や雑音発生器などを使って耳鳴りに対する馴れを促す“TRT療法”というものもあります。
こちらに関しては治療が難しくできる施設が限られていますので、主治医とご相談ください。
以上“耳鳴りは治るのか?”ということについて書きました。
耳鳴りはなかなか治りにくい病気です。
完全に治そうとするのではなく、意識しすぎないように持って行くことが大事です。
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