声がつまる、震える、途切れる病気に痙攣性発声障害というものがあります。声帯には異常がなく、基本的に体は元気なので、精神的な病気と以前は考えられていましたが、現在は局所ジストニアという運動障害であり、脳機能の異常が考えられています。
近年治療法の発達で症状が軽減される患者さんが増えてきているので注目されています。
治療には最初に挙げた4つがあり、一つずつ説明します。
- 音声リハビリ
声の出し方を矯正してつまりや震えなどの症状をなくそうというものです。やや症状が軽快する場合もありますが、一般的には痙攣性発声障害では音声リハビリの効果は乏しいです。
- ボツリヌス注射
顔のしわ取りなどで行われるボツリヌス注射ですが、筋肉の運動を麻痺させる効果があります。痙攣性発声障害は声帯の内筋という声帯を作っている部分の筋肉のけいれんなので、そこにボツリヌスを注射すると筋肉が麻痺してふるえやつまりがよくなります。
注射して1週間ぐらいは声がすごくかれますが、その後声が良くなってきます。しばらくは効果が持続しますが、3~4か月ぐらいすると再び声は悪化するため注射を継続しなければなりません。
- 甲状軟骨形成術Ⅱ型(手術)
痙攣性発声障害は声帯が閉まりすぎてつまった声になるので、声帯を囲んでいる軟骨を真ん中で割ってしまって拡げることにより、声帯が閉じすぎるのを防ぐという手術です。拡げた部分はチタンという装具を入れます。局所麻酔で声を聴きながらできるので、手術で声が良くなるのをイメージできます。欠点としては首にそれほど目立たないですが傷ができることです。
- 内筋切除術(手術)
こちらも手術ですが、けいれんする声帯の内筋という部分をすべて切除して取ってしまうという手術です。こちらは全身麻酔で行いますので、声の結果がわかるのは術後しばらくたってからですが、特別な装置は必要なく、通常の声帯ポリープを取るような手術器具で行うことができます。ただ、一度筋肉を取ってしまうともとに戻すことはできないことや筋肉を取る量などが難しいことなどから行っている施設は少ないのが現状です。
以上痙攣性発声障害の治療について述べましたが、一長一短があり、ケースバイケースですので主治医と相談し個人に合った治療を選択してください。
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