「食事の味がしない」というのは医学用語では味覚障害と呼ばれます。
味覚障害以外にも「食事の味がしない」、「ある特定の味が分からない」、「何も食べていないのに苦みを感じる」、「酸味と塩味を間違える」、「食物がいやな味に感じる」などの味に関する症状があり、味覚異常と言います。
味覚障害・異常の原因は様々ですが、最も多いのが血液中の亜鉛が欠乏する亜鉛欠乏性の味覚障害です。
その他、薬剤性(薬のよるもの)や全身疾患性(全身に起こる病気によるもの)、感冒後(風邪の後)、心因性(ストレスによるもの)、中枢性(脳が原因となるもの)、医原性(手術後)などがあります。
薬剤性の場合も、薬剤が亜鉛の吸収を阻害することで味覚障害を起こすことが多いです。
一見味覚障害の様に見えて実は嗅覚障害(においの障害)の時もあるので要注意です。
味覚と嗅覚は非常に密接な関係にあります。
かき氷が実は同じ味で、色とにおいを変えることで、違う味のシロップのように感じさせているというのをご存じでしょうか?
つまり味覚は大丈夫でも、嗅覚がおかしくなると人は味がおかしいと感じる事があります。
嗅覚障害がないかも調べてみる必要があります。
味覚障害で最も大事な検査は血液検査で、血清亜鉛値を測定し、亜鉛欠乏の有無・程度評価します。
正常値より低い場合或いは正常値でも低めの場合は亜鉛を内服で補充します。
食事やサプリメントから摂取もできますが、含まれている亜鉛量が少ないので、血清亜鉛が低下しているときは内服で補う方が良いと考えられます。
血清亜鉛値が正常になってきたら食事から亜鉛を摂るようにしましょう。
亜鉛は牡蠣やレバー、赤身肉などに含まれますので、そのようなものから摂ると良いと思います。
以上“食事の味がしなくなった。これって大丈夫?”ということについて書きました。皆さんのご参考になれば幸いです。