音声治療は、基本的に音声外来を標榜している病院に勤務している言語聴覚士が行う声の指導・訓練のことで、医師の指示により治療を行います。
音声治療には大きく分けて、声の衛生指導と音声訓練があります。
声の衛生指導は声に悪いことへの指導を行います。具体的に上げると、声を使いすぎない、喫煙や飲酒を控える、喉を乾燥させないよう水分を摂取するなどです。
音声訓練は、発声の方法が不適切な(間違っている)ためにおこる音声障害に対して、言語聴覚士が指導することで正常な発声に戻す治療です。
どのような方に音声治療を行うか例を挙げると、保育士などでいつも無理して大きな声を出していると声帯が常に激しく衝突するため結節というまめのようなものをつくってしまい、きれいに声帯が閉じなくなるため声がかれます。毎日大きな声を張り上げないような環境づくりと喉詰め発声にならないような腹式を意識した発声を訓練します。
他にも、歌い方や声の出し方において特別な訓練をせず無理して持続的に発声しているような場合、慢性的に声帯に炎症が起こす人がいます。このような方はプロのボイストレーナーから教われる方は習っていただければいいと思いますが、そこまでではない場合は、言語聴覚士により基本的な発声の方法を指導していただき、ご自分でも発声の仕組みについてしっかり理解していただきます。
また、炎症は起こさなくてものどの筋肉がいつも緊張したような状態になってつまったような声を出す方もいらっしゃいます。そのような方は言語聴覚士による首の筋肉のマッサージや発声方法の指導によって症状を改善させます。
音声治療が行える医療機関は限られており、すべての言語聴覚士が行えるわけではなく、音声外来を標榜している病院に勤務している言語聴覚士に限られます。そのため治療を行える言語聴覚士は全国的にも少ないのが現状です。
もちろん音声治療だけで病気を治すことが目標ですが、手術を行う前に音声治療を行ったり、手術の後にも音声治療を行ったりすることもあります。
音声治療では次のことを矯正することを目標としています。
これらは歌を上手に歌うことにも同様につながってくることです。
- 安定した気流の供給 → 声は吐く息でできています。安定した吐く息は良い声につながります。
- 共鳴の誘導 → 喉を拡げて声を響かせる、喉頭を下げ喉詰め発声にならないようにする。
- 声帯振動の効率化 → 声帯は閉じなくても、閉じすぎてもいい声ではなくなるので適度な閉鎖を促す
これらを目標に言語聴覚士により色々な手法を用いて音声障害に対する治療を行います。
以上音声治療について説明しました。声でお困りの方は一度音声外来でご相談ください。
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